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クルマ査定の窓口本部 会社概要と沿革株式会社日本カーズ・コム 沿革株式会社 日本カーズ・コム
正直に、真面目に、分かりやすく 大堀健二 相変わらず円高が続いています。こういうとマイナスの影響ばかりに目が行きがちですが、裏を返せばリーマンショック後の混沌とした世界情勢下にあって、日本の円は一度も信用を落としていないということに外なりません。 同じように日本の中古車もまた、一定して世界で高い評価を受けています。中古とはいえ、めったなことでは壊れない。燃費がいい。性能がいい。海外からの需要が大きく、国内市場は品薄で、それによって価格が上がっているのが現状です。新車同様、中古車も日本を支える輸出産業であり、知られざるグローバル産業の一つなのです。 私が中古車業界に入ったのは平成八年、二十九歳の時でした。もともとオフィスコンピュータのSEをしていましたが、インターネットで車を買う時代が来ると思い、中古車販売店の「在庫共有」の運営会社を起業。中古車販売の各店がそれぞれ持っている中古車をコンピュータネットワークによって、適時お客様へ中古車を提供・販売していくシステムを構築し、加盟店を募りました。 販売店とのお付き合いや、私自身がリアルの中古車販売店の経営に参画させていただく中で感じたのは、車を取り扱う仕事は他の職業以上に幅広い知識が求められるということです。 前述のとおりグローバル産業ですから、海外の情勢も通じる必要があるのはもちろんのこと、自動車購入時には税金だけでも取得税、自動車税、重量税などいくつもの税金がかかるため、お客様にその説明もできなくてはならない。保険の知識も自賠責保険、車両保険、任意保険など多岐に及びます。 また、購入後には国に登録しなければなりませんから、行政書士のように書類をそろえ、印鑑証明や実印をもらわなければなりません。当然、日進月歩である自動車の性能にも詳しくなければならないし、とにかく知っておかなければならないことが山ほどあるのです。 その中でも最も難しく、知識と経験を要するのは、車の買い取りと値決めです。そして長い間、中古車業界がお客様から「よく分からない」と思われていたのも、この買い取り・値決めの部分でした。 「この車、買ってください」 「うーん、これなら二十万円くらいかなぁ」 「え、僕は五十万円くらいだと思っていたんですけれど」 「じゃあ、頑張って三十万円くらいにしておこうか?」 このようにはっきりとした基準はなく、お客様と販売店との駆け引きが繰り広げられた結果、素人がプロに勝つはずもなく、販売店側の言い値になることがほとんどでした(もちろん、多くは適正価格をつけていると思います)。 そこで加盟店共通の評価シートを作成し基準を決めたり、走行距離や傷の箇所を明らかにする「デメリット表示」などを行っていましたが、二〇〇二年に公開査定の「買取テン」をスタートさせました。 買取テンとは、簡単に言えば愛車の売却に必要な情報をすべてお客様にお教えするシステムです。まずはプロがどうやって価格を決めているのかという査定の基準、次にオークションでのプロ同士の取引価格(市場相場)、そして実際に市場で売られている販売価格の三つを公開し、その上でお客様に「この店に売ってもいいか」を決めていただくのです。いわゆる「情報開示」であり、いまとなっては当たり前のようなことなのですが、十年前の中古車業界ではまだ徹底されていなかったのです。 私が車の素人であるお客様に「正直に・真面目に・分かりやすく」お伝えしようと思った根底には、『人間の格』(致知出版社刊)をはじめとする芳村思風先生の教えがあります。 思風先生はその著作の中で、アメリカがリードしてきた資本主義による競争・対立の世界はいずれ限界を迎え、科学技術にしても哲学や宗教の分野にしても、最終的に日本が世界をリードしていくことになるだろうと繰り返し述べています。 その国にあって、中古車販売業に従事する自分たちはどういうサービスをお客様に提供していくのかを追い求めた結果でした。他社との競争や差別化のためではないのです。 現在、当社の加盟店は二十店舗弱ですが、これを各都道府県に広げていく活動を地道に続けていくとともに、買取塾・販売塾、保険の勉強会などのセミナーも行っています。 中古車販売は「明日からはここを引き上げ、東京に行ってやります」ということが非常に難しい業態です。だから、とにかく地域密着でいくしかない。 「あそこに車を売りに行ったら、なんかボラれた気がする」 「あそこで中古車を買ったら傷がついていた。そんな説明なかったのに」 こういう口コミが広まれば一発で立ち行かなくなります。他社より価格が安いことよりも、女性やお年寄りなど車に詳しくない方々に丁寧に応対し、「あそこは丁寧に説明してくれるわ」となれば、それもまた口コミで広がっていきますし、次に車を乗り換える時もリピーターとなってくださいます。 まだまだ発展途上の中古車業界ですが、この国を支える自動車産業の一翼であることを誇りに、加盟店の皆様が地元のお客様に愛され、必要とされるお店になるお手伝いをしていきたいと思っています。 |